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耐震等級とは?1、2、3の違いを知って地震に強い家を建てよう

耐震等級とは?1、2、3の違いを知って地震に強い家を建てよう

日本は、大震災のたびに耐震基準を厳格化してきました。ですから「家は、耐震基準をクリアしていたら問題ない」「耐震等級は、1でも十分」と考えている方が少なくありません。

しかし、熊本地震では耐震基準を満たす家が倒壊しています。一方、耐震等級3の家は約9割が無被害で、残りは軽微な小破であったことから、改めて「等級3」の安全性が印象づけられました。

本稿では、注目が集まる「耐震等級」の意味や等級による違い、等級の高め方について詳しく解説します。あなたも、本稿を参考に「安心・安全な家」について考えてみませんか?

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目次

耐震等級とは?意味をわかりやすく解説

日本には、国が建築基準法等の法令により「最低限クリアすべき」と規定した耐震性能の基準があります。新築時は、この「耐震基準」をクリアしないと建築許可が下りません。

では「耐震等級」とは、何でしょうか?耐震基準と、何が違うのでしょうか?

「耐震等級1」と「耐震基準」は同等の耐震性

耐震等級は「住宅性能表示制度」にある評価項目のひとつです。住宅性能表示制度では、分かりにくい住宅の性能を等級で表わし、誰でも簡単に理解できるようにしています。

住宅性能表示制度は義務ではなく、任意の制度です。ですから、耐震等級等の住宅性能を評価してほしい場合は、以下の手順で国の認定を受けた評価機関から評価書を交付してもらう必要があります。

1.設計図書を作成して申請する
2.設計図の評価を受ける
3.設計住宅性能評価書を交付してもらう
4.施工時や完成時の検査を受ける
5.建設住宅性能評価書を交付してもらう

耐震等級は等級1から等級3まであり、耐震性(地震に対抗する力)の強さを表わしています。等級3が最高等級で、耐震等級1は建築基準法等で定められている「耐震基準」と同等の耐震性です。

耐震等級は意味ない?等級1で十分?

耐震等級については「意味ない」「等級1で十分」という意見もあります。一方「等級1や2では不十分」「等級3が必要」という意見もあります。実際のところ、どうなのでしょうか?

「意味ない」「等級1で十分」と言われているのは、以下の理由があるからです。

・建築基準法の耐震基準をクリアできているから問題ない ・振動実験で耐震等級の高い家のほうが先に倒壊した

さて、耐震基準をクリアできていれば、家の耐震性は問題ないのでしょうか?なぜ、耐震等級の高い家のほうが先に倒壊したのでしょうか?

順番に解説しましょう。

▼等級1では、群発地震に耐えられないかもしれない

じつは、建築基準法の耐震基準は「最低限満たすべき基準」として設定されています。これは大地震に1度だけ耐えられる性能であり、避難する時間を稼ぐための性能です。

よって、住み続けられるかどうかは考慮されていません。また、群発地震も考慮されていません。

実際、令和6年の元日に発生した能登地震では、耐震基準を満たした家が数多く倒壊しました。そうなった理由は、以下ではないかと見られています (執筆時点)。

・能登では、2020年以降、震度5以上の地震が5回発生している
・数々の強い地震によって、家屋にダメージが累積されていた
・今回、さらに大きな揺れが来て被害が拡大した

参考:朝日新聞『震度4以上受けた木造住宅はダメージ累積』

2016年に発生した熊本地震でも、似たようなことが起こっています。益城町中心部で震度7の地震が2回(前震・本震)発生して、建築物に甚大な被害を与えたのです。

震災後におこなわれた日本建築学会の調査によると、この地震でも現行の耐震基準の家が倒壊しています。一方、耐震等級3は「倒壊ゼロ」で、しかも約9割が「無被害」でした。

・無被害:87.5%(14棟)
・軽微、小破:12.5%(2棟)

このような結果を見ると、耐震等級1では、群発地震に耐えられるか心配になるのではないでしょうか?

おそらく、多くの方が求めている耐震性能は「大地震が来ても倒壊せず、そのまま、または多少の修繕で住み続けられる」ではないでしょうか?

そのような性能にしようと思うと、耐震等級は「等級3」にする必要があります。

▼なぜ、振動実験で耐震等級の高い家のほうが先に倒壊したのか

2009年10月27日、実大3次元震動破壊実験施設(通称:E-ディフェンス)にて、実物大の住宅2棟を同時に揺らす実験がおこなわれました。

この2棟のうち1棟は、長期優良住宅の基準を満たす耐震等級2の住宅(以降A棟とする)です。もう1棟はA棟と同様の住宅ですが、柱を接合する金物のみ弱くしてありました (以降B棟とする)。

実験の結果は、以下のリンク先の動画のとおりです。なんと、耐震等級では上位のはずのA棟が、先に倒壊したのです。

実験動画:長期優良木造3階建てが「想定通り」倒壊|日経BP社ケンプラッツ

この実験結果によって、当時、建築関係者のあいだでも「家を固めすぎると、地震力を逃がせず倒壊するのでは?」「耐震等級、意味ないのでは?」という意見が出ました。

しかし、この実験には「動画を見ただけでは分かりにくい事実」が隠れています。ご紹介しておきましょう。

・動画の実験は、倒壊を確認するためにおこなった追加実験
・倒壊が起こった際の震度は、6強相当より強かった
・実際の地震では、A棟よりB棟が先に倒壊していた可能性がある

動画の実験は、本来の加振実験の追加実験でした。その目的は倒壊のメカニズムを観察するためであり、かなり強めに揺らして意図的に倒壊させています。

この追加実験では、開始後すぐにB棟の柱脚金物(柱と土台・基礎を接合する金物)が破断して浮き上がっています。その後、B棟が揺れたり滑ったりして、架台上を最大30cmほど移動しているのです。

もし、実際の地震でこんなことが起きたらどうなるでしょうか?おそらく、建物が基礎上から落下して倒壊していたのではないでしょうか。

詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。

耐震等級3なら倒壊しない?これからの耐震ニューノーマルを考えよう

耐震等級1、2、3の違い

建築部材に力をかけていくと、復元可能な弾性域(だんせいいき)から元に戻れなくなる塑性域(そせいいき)に移行します。

耐震性能は、このふたつに着目して、中規模地震(数10年に1回は起こりうる大きさの地震)と大規模地震(数100年に1回は起こりうる大きさの地震)に分けて検討されます。

中規模地震:弾性域の限界(変形しない)を検討
大規模地震:塑性域の限界(倒壊しない)を検討

さて、耐震等級2や3は、等級1と比べるとどのくらい性能が高いのでしょうか?

簡単にお伝えすると、以下のようになります。

・耐震等級1は、現行の耐震基準レベル
・耐震等級2は、等級1の1.25倍の耐震性
・耐震等級3は、等級1の1.5倍の耐震性

では「現行の耐震基準レベル」とは、どの程度の耐震性なのでしょうか?

先述のとおり、耐震等級1の家は「耐震基準」レベルの家です。このレベルの住宅には、以下の耐震性能が求められています。

・数十年に1回は起こりうる大きさの地震に対して、大規模な修復工事が必要になるほどの著しい損傷が生じないようにする
・数百年に1回は起こりうる大きさの地震に対して、損傷は受けても、人命が損なわれるような壊れ方をしないようにする

東京を想定した場合「数十年に1回は起こりうる大きさの地震」は震度5強に相当します。「数百年に1回は起こりうる大きさの地震」は震度6強から7に相当します。

つまり、耐震基準(=耐震等級1)は「震度5強以下なら著しく変形しないように、震度6強や7では倒壊しないようにしてください」と言っているのです。

参考:国土交通省『新築住宅の住宅性能表示制度ガイド』

ちなみに、耐震等級2は、長期優良住宅レベルの耐震水準です。耐震等級3は、消防署や警察署等の防災拠点になる建物レベルの耐震水準です。

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耐震等級の高め方

耐震等級の高め方

耐震等級は、どうやって高めたらいいのでしょうか?どうすれば、等級1を等級2や3にできるのでしょうか?

つづいて、耐震等級を高める際に必要なことをご紹介しましょう。

耐力壁(たいりょくへき)の量を増やし、配置バランスを整える

壁が少ない建物は、地震力に抵抗できず、倒壊しやすくなります。とりわけ、耐力壁と呼ばれる「地震力や風圧力に対抗できるように補強された壁」の量が重要です。

耐力壁は、バランスよく配置することが大切です。間取りの一部だけにかたよって配置すると、剛性のバランスが悪くなり、地震の際にねじれを引き起こしてしまいます。

近年、LDKが大空間化しています。壁のない大きな空間は、耐力壁のバランスを崩す要因になりやすいため、注意が必要です。しっかり、耐震性の成り立つ設計で家を建てましょう。

屋根は軽いほうが有利

地震の加速度に建物の重さをかけ算したものが、地震力になります。ですから、重い屋根の家のほうが、軽い屋根の家より大きな地震力を受けます。

よって、屋根が重くなればなるほど、それに見合う強さの構造が必要になります。これは、体重の軽い人より重い人の方が、体を支える筋肉を必要とするのと同じことです。

とりわけ、太陽光発電パネルを載せるときは注意しましょう。こんなことが起こります。

・屋根が重くなる
・地震の際に、家がねじれやすくなる場合がある

日本の家は、南側にLDKを配置する傾向があります。ですから、壁量は北側が多くなりがちで、建物の剛心(強さの中心)も北に寄りがちです。

一方、太陽光発電パネルは、一般的に南側に載せます。すると、建物の重心(重さの中心)は南側に寄ります。

地震の際、重心と剛心では反対方向に力が加わりますので、家がねじれます。ですから、住宅の設計では、重心と剛心をできるだけ近づけることが大切です。

床の強さにも配慮する

床が変形しやすい状態になっていると、地震の際に一部の壁に地震力が集中してしまいます。すべての壁が同じように変形してくれないと、地震力を分散できません。

ですから耐震等級には、耐震基準にない「床倍率 (床の強さを表わす指標)」という評価項目があります。等級2以上を取得する場合は、床倍率のチェックが必須です。

床の強さで注意が必要なのは、吹き抜けでしょう。吹き抜けの床倍率は「ゼロ」です。よって、吹き抜けをつくるとこうなります。

・吹き抜けのある区画の床の強度が小さくなる
・吹き抜け周辺の床に、他よりも大きな力が加わる

吹き抜けをつくる際は、これをカバーする必要があります。吹き抜けに「火打ち」と呼ばれる部材を入れたり、周辺の床面を補強したりして、構造上成立する吹き抜けにしてください。

なお、階段やPS(パイプスペース)なども「隠れた吹き抜け」と言えます。あわせてご注意ください。

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【まとめ】地震に対する強さが分かる「耐震等級」を活用しよう

地震から家族の命を守るには、地震に強い家が必要です。地震に対する家の強さを知るには、客観的な数字で理解できる「耐震等級」が有効ですので、ぜひご活用ください。

しかし、耐震だけでは群発地震に耐えられないかもしれません。そこで、創建ホームでは「耐震 (振動に対抗) + 制震 (振動を吸収)」をご提案しています。

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