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耐震等級3なら倒壊しない?これからの耐震ニューノーマルを考えよう

耐震等級3なら倒壊しない?これからの耐震ニューノーマルを考えよう

本稿では、耐震等級3が真標準になりつつある理由をご紹介します。「地震に強い家」とはどういう家なのか、知りたい方は最後までご覧ください。

2009年におこなわれた実大振動破壊実験で、長期優良住宅(耐震等級2)が耐震等級1の住宅より先に倒壊しました。熊本地震でも、耐震等級2の住宅が倒壊しています。

この2つのできごとは住宅関係者に衝撃を与え、当時かなり話題になりました。しかし、なぜそんなことが起こったのでしょうか?

じつは、そこには「知っておくべき理由と誤解」があります。これらの事実から、地震大国に住む私たちが建てるべき「本当の耐震住宅」について学んでみましょう。

目次

長期優良住宅(耐震等級2)が震度6強で倒壊?

長期優良住宅(耐震等級2)が震度6強で倒壊?

2011年3月から2021年2月までの間に、震度6強の地震が10回以上発生しているのをご存知でしょうか。もはや、日本において震度6強の地震は「まれ」とは言えない状況なのです。

その震度6強の地震で、高性能の代名詞「長期優良住宅」が倒れたら……いったい何をよりどころにすればいいのか、わからなくなりますよね。

しかし、2009年におこなわれた「実大振動破壊実験」で長期優良住宅(耐震等級2)が倒壊してしまったのです。いったいなぜそんなことが起こったのか、理由をご紹介しましょう。

実大振動破壊実験の概要

2009年10月27日、実大3次元震動破壊実験施設(通称:E-ディフェンス)にて実物大の住宅2棟を同時に揺らす実験がおこなわれました。

実験動画:長期優良木造3階建てが「想定通り」倒壊|日経BP社ケンプラッツ

この2棟のうち1棟は、長期優良住宅の基準を満たす耐震等級2の住宅(以降A棟とする)です。もう1棟はA棟と同様の住宅ですが、柱を接合する金物のみ弱くしてありました (以降B棟とする)。

公開された実験の結果は、リンク先の動画のとおりです。なんと、耐震等級では上位のはずのA棟が、先に倒壊したのです。

・A棟 ⇒ 加振開始後20秒くらい経ったころ、耐力壁が「せん断破壊」に至り倒壊
・B棟 ⇒ 加振開始後約6秒で柱脚金物がほぼすべて引き抜けたが、実験終了まで倒壊せず

当時この動画は、住宅関係者の間でかなり話題になりました。「家を固めすぎると、地震力を逃がせず倒壊するのでは?」や「耐震等級、意味ないのでは?」と考えられたのです。

なぜ、長期優良住宅が先に倒れたのか

先述の実大振動破壊実験は、学ぶところがたくさんあります。しかし、その前に知っておくべき「誤解」が3つありますので、ご紹介しましょう。

・動画の実験は、倒壊を確認するためにおこなった追加実験
・倒壊が起こった際の震度は、6強相当より強かった
・実際の地震では、A棟よりB棟が先に倒壊していた可能性がある

動画の実験は、耐震等級1が想定するレベルの加振実験後に、その約1.8倍の加振をおこなった追加実験でした。目的は倒壊のメカニズムを観察するためであり、かなり強めに揺らして意図的に倒壊させています。

この追加実験では、開始後すぐにB棟の柱脚金物(柱と土台・基礎を接合する金物)が破断して浮き上がっています。その後、B棟が揺れたり滑ったりして、架台上を最大30cmほど移動しているのです。

もし、実際の地震でこんなことが起きたらどうなるでしょうか?おそらく、建物が基礎上から落下して倒壊していたのではないか、と考えられます。

参考:3階建て木造軸組構法の設計法検証事業の報告「まとめ」

住宅の地震対策の基本は「耐震」

この実験では、図らずもA棟(長期優良住宅)が先に倒壊してしまいました。しかしこれは、柱脚金物が破断したB棟が地面から離れた、つまり「免震」と似た状態になったからだと考えられます。

この動画は、免震(あるいは制震)で地震力を吸収する意義について考えるきっかけを与えてくれました。しかし、地震に強い家づくりの基本が「耐震」であることは、忘れてはいけません。


熊本地震では、耐震等級3の家は倒壊せず

熊本地震では、耐震等級3の家は倒壊せず

ご紹介した実験を見たあとでは「耐震」への信頼もゆらぐというもの。そこで、耐震の重要性を印象づけた事例をご紹介したいと思います。

2016年4月14日および16日、熊本地震が発生しました。この震災の特徴は、益城町中心部で震度7の地震が2回(前震・本震)発生して、建築物に甚大な被害を与えたことです。

震災後、日本建築学会が木造建築物の全数調査(著しく被害を受けた地域)を実施して、建物の耐震性と倒壊率の関係を調査しています。結果の一部をご紹介しましょう。

・旧耐震基準(1981年5月以前)の家 ⇒ 28.2%が倒壊(214棟)
・新耐震基準(1981年6月~2000年5月)の家 ⇒ 8.7%が倒壊(76棟)
・改正後の新耐震基準(2000年6月以降)の家 ⇒ 2.2%が倒壊(7棟)

上述の結果を見てわかるとおり、新しい耐震基準にのっとって建築された木造住宅ほど、倒壊率が大きく下がっています。とは言え、最新の耐震基準の住宅でさえ「倒壊ゼロ」ではありませんでした。

ちなみに「耐震基準」は、建築基準法等で「これから建築する住宅が最低限クリアすべき」と規定した基準です。大震災が起こる度に教訓を活かす形で改正され、だんだんと厳しくなっています。

耐震性の評価基準は、耐震基準の他にもあります。ご存知のとおり「耐震等級」です。この基準の最高等級である「等級3」の建物については、以下の結果となりました。

・無被害:87.5%(14棟)
・軽微、小破:12.5%(2棟)

なんと「倒壊ゼロ」で、しかも約9割が「無被害」だったのです。この結果は「耐震等級3」の優位性を住宅関係者に強く印象づけました。


「大地震のあとも住み続けられる家」を建てるには?

熊本地震の調査結果を見ると、新耐震基準(耐震等級1)では心もとないと言わざるを得ません。いっぽう、耐震等級3であれば震災後も自宅に住みつづけられそうです。

ですから、これからの住宅は「耐震等級3が真標準」と言っていいでしょう。ちなみに、耐震等級は1~3まであり、以下のような関係になっています。

・耐震等級1は、現行の新耐震基準レベル
・耐震等級2は、等級1の1.25倍の耐震性
・耐震等級3は、等級1の1.5倍の耐震性

等級2や3を取得する方法は、簡易な「壁量計算」による方法と、綿密な「構造計算」による方法があります。費用と時間がかかりますが、できることなら構造計算による取得をおすすめします。

耐力壁は「量・バランス・直下率」を考えて配置する

耐力壁とは、地震や台風などによって横から受ける力に抵抗できる壁のことです。筋交いや構造用面材と呼ばれる材料を使い、強度を高めてあります。

ここで勘違いしやすいのが、耐震等級と壁量の関係です。「耐震等級3は等級1の1.5倍の耐震性だから、壁量も1.5倍」とはならず、以下のとおり2倍近い壁量が必要になります。

・等級1を等級2にするには、壁量が1.55倍必要(屋根材が重い場合は1.75倍)
・等級1を等級3にするには、壁量が1.86倍必要(屋根材が重い場合は2.09倍)

耐力壁は、量だけでなくバランスも大切です。耐力壁が極端に少ない部分があると、家がねじれたり崩壊したりする原因になります。

直下率(上下階の柱や壁の位置が揃っている割合)にも気を配るべきでしょう。壁量が足りていても、直下率が低いと倒壊のリスクが高くなります。1階に大空間のLDKをつくる場合は、注意が必要です。

地震を吸収する性能(制震等)も高める

建築物が地震に抵抗する方法は「耐震、免震、制震」の3種類があります。それぞれの概要を、ご説明しておきましょう。

耐震構造:建物自体を堅くして振動に対抗する構造
免震構造:建物と地面を絶縁して、振動を伝達しない構造
制震構造:建物内に振動軽減装置を設置して、振動を吸収する構造

地震に強い家づくりの基本は、耐震性を高めることです。しかし、冒頭で紹介した長期優良住宅の倒壊は、図らずも免震について考えさせられる結果になりました。

とは言え、免震構造は導入や維持管理のコストが高く、縦揺れや強風による揺れには効果が薄いとされています。一般住宅で採用するのは、ややハードルが高いでしょう。

そこで注目されているのが、制震構造です。耐震構造を進化させたこの構造なら、免震構造より安価に導入できてメンテナンスもほぼ要りません。


【まとめ】これからは耐震等級3+αがニューノーマル

2016年に発生した熊本地震では、建築基準法にのっとった新耐震基準の家が倒壊してしまいました。いっぽう耐震等級3の家はすべて倒壊をまぬがれ、その優位性を印象づけました。

今後、どこで巨大地震が起こってもおかしくない日本では、木造住宅に法規を超越した耐震性が求められています。耐震等級3を目指す家づくりが、今の真標準なのです。

創建ホームでは耐震等級3に「制震」をプラスアルファすることで、より「地震に強い家づくり」をおこなっています。詳しくはこちらでご紹介していますので、合わせてご覧ください。

創建ホームがご提案する『 耐震等級3+α 』の家はこちら 》