更新 住宅の知識
近年、住宅価格が高騰しています。そんな中で「注文住宅は魅力的だけど、コストや手間が不安」と感じている方に注目されているのが「規格住宅」です。
規格住宅は、あらかじめ用意されたプランの中から選ぶため、建築費用を抑えられ、打ち合わせの負担も軽減できます。一方で「自由度が低い」「特殊な土地には対応しづらい」といったデメリットも。
本稿では、規格住宅のメリット・デメリット、そして注文住宅との違いをわかりやすく解説します。後悔しない家づくりのために、ぜひ最後までチェックしてみてください。
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さっそく「注文住宅との比較」の観点から、規格住宅の主なデメリットを2つご紹介します。
規格住宅は、ハウスメーカーや工務店があらかじめ用意した一定の仕様やプランに基づいて建てられます。そのため、注文住宅のような「自由設計」は難しいのが実情です。
外観や内装、設備や間取りなども基本的には決められた選択肢の中から選びます。ですから、細かなこだわりや独自性を反映させるのは難しいでしょう。
規格住宅では、建物の構造があらかじめ決まっているため、多くのハウスメーカーが大幅な間取り変更を受け付けていません。
たとえば、特定の柱や壁の位置を変えられないことがあります。そのため「LDKをもっと広くしたい」「将来的に子供部屋を2つに分けたい」といった要望がかなわないケースもあります。
外観のデザインや内装のテイストも、いくつかのパターンに限定されるのが一般的です。デザイン性やオリジナリティを重視する方にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。
たとえば、他の規格住宅と似たような見た目になったり、「もう少し自分らしい雰囲気を出したい」という希望を実現しづらかったりする傾向があります。
こうした自由度の制限は一見デメリットに思えますが、じつはメリットにもつながっています。選択肢をある程度限定することで、建築コストの削減や工期の短縮が可能になります。
すべてを一から決める必要がない分、スムーズに家づくりを進めたい方にとっては、かえって安心感のある選択肢とも言えるでしょう。
規格住宅は、建物の大きさや形状を柔軟に調整することが難しく、建物を土地に「当てはめる」ような形になります。
結果として、土地に特殊な条件や制限がある場合、希望どおりに建てられない可能性があります。例をあげてみましょう。
変形した形の「不整形地」や面積が限られた「狭小地」、高低差のある「傾斜値」などでは、規格住宅のプランをそのまま適用できない場合があります。
規格住宅は、一定の広さがあり、地形が平坦な土地を想定して設計されています。そのため、設計の柔軟性が求められる土地では対応しづらく、小回りが利きません。
ご紹介したような条件の土地では、そもそも建築自体が不可能になったり、追加費用が発生したりする可能性があります。
土地の条件だけでなく、その地域の法規制にも注意が必要です。規格住宅は設計変更の幅が限られるため、法規制に合わせて柔軟に対応することが得意ではありません。
たとえば、斜線制限により建物の高さや形状に制限がある場合や、景観条例で外観デザインに一定のルールがある地域では、規格住宅のプランでは適合できない場合があります。
こうしたリスクを避けるためには、土地を購入する前の段階で、必ずハウスメーカーや工務店に相談することが重要です。
注文住宅に比べて自由度が限られる一方で、規格住宅にはコスト面やスケジュール面で多くの魅力があります。
ここでは、そんな規格住宅ならではの、代表的なメリットを3つご紹介します。
規格住宅の最大の魅力は、なんと言っても建築コストを抑えられる点にあります。
設計や施工があらかじめ規格化されているため、打ち合わせや図面作成の手間が省けるだけでなく、材料の選定や手配も効率的に進められます。
結果的に設計費や人件費、材料費の削減につながり、大幅なコストダウンが可能になります。
注文住宅では、一から設計図をつくる必要がありますが、規格住宅は用意されたプランの中から選ぶだけでOKです。
その結果、設計士の作業時間が少なくなり、設計や打ち合わせにかかる費用を抑えられます。
プランが決まっている分、設計のミスや修正も少なく、効率よく進められる点もメリットです。
規格住宅で使用される建材や住宅設備(キッチン、浴室、トイレなど)は、決まったものに絞り込まれています。その結果、建築会社はある程度の量をまとめて仕入れられます。
一般的に、輸入品や小ロット生産品のような調達に手間のかかる建材も使われません。汎用品を使うことで、納品ミスや在庫管理の手間が減ります。
このような「合理化」により、規格住宅は仕入れにかかる労務やコストを抑えています。
規格住宅は建物の構造や工程が標準化できるため、現場の職人さんは慣れた流れで作業を進められます。工程が標準化されると、工期短縮につながり、工事にかかる人件費や管理費も抑えられます。
結果として、お施主さまも早く入居できるようになります。賃貸住宅にお住まいの方は、家賃などのコスト負担を減らせるでしょう。
規格住宅は、基本的な仕様や設備があらかじめ決まっているため、あとからの追加や変更が発生しにくいです。その分、予算オーバーのリスクも下がります。
また、坪単価が明確で建築費用の見通しが立てやすく、予算を組みやすいのも嬉しいポイントです。
一方、注文住宅は自由度が高い反面、設計・建築に時間とコストがかかりがちです。また、お施主さまのこだわりが増えるにつれて、当初予算を超えてしまうケースも少なくありません。
繰り返しになりますが、規格住宅は家づくりのプロセスが標準化されており、あらかじめ選択肢が整理されています。
その結果、注文住宅に比べて打ち合わせにかかる時間や労力が少なくて済みます。多忙な方にとって、この「決めることの少なさ」は大きな魅力となるでしょう。
注文住宅では建材や設備、間取りまで、すべてをゼロから自分で選んでいく必要があります。 この作業には、情報収集と比較検討、さらに家族内での意見調整といった多くの時間と労力が必要です。
一方、規格住宅はあらかじめ建材や設備、間取りなどの選択肢が絞り込まれています。お施主さまはその中から自分たちに合うものを選ぶだけで済むため、意思決定がスムーズに進みます。
注文住宅では、お施主さまの要望を反映するために設計士との綿密な打ち合わせが必要です。何度もハウスメーカーへ足を運ぶ必要があり、図面が完成するまでに数か月かかることもあります。
規格住宅では、基本となる設計図や仕様がすでに用意されているため、詳細な打ち合わせを重ねる必要がありません。お施主さまにとって、大きな負担軽減につながります。
注文住宅では、「やっぱりこの壁紙にしたい」「はやりの設備を追加したい」といった変更が起こりやすく、そのたびに打ち合わせや見積もりが必要になります。
規格住宅はできることが限定されるため、打ち合わせ途中の仕様変更が少なく、それにともなう確認・調整作業の手間が減ります。
仕事や子育てで忙しいご家庭にとって、限られた時間の中で効率的に家づくりを進められる「規格住宅」は、魅力的な選択肢となるのではないでしょうか。
規格住宅は、注文住宅と比べて引っ越しまでの期間を短縮しやすいです。これは、設計から建築までのプロセスが効率化されていることと深く関係しています。
注文住宅では、土地探しのあとにヒアリングをおこない、ゼロから設計図を作成する必要があります。そのため、設計だけで数か月から半年かかる人もいます。
一方で規格住宅は、ベースとなるプランがあらかじめ用意されているため、設計にかかる時間が大幅に短縮されます。 早い段階から着工に移れるのが大きな強みです。
規格住宅では、使用する建材や設備が標準化されているため、スムーズに発注・手配できます。さらに、施工も標準化できるため、現場の職人さんも慣れた作業で効率よく進められます。
また、このような「標準化」は予期せぬトラブルや遅延のリスクの軽減にもつながります。結果的に引っ越しまでの期間を短縮できます。
家づくりの期間が短くなると、さまざまなメリットがあります。たとえば、賃貸住宅に住んでいる場合、家賃と住宅ローンの「二重払い」の期間を短くできます。
家づくりは、少なからず精神的な負担をともないます。家づくりの期間を短縮できれば、この負担も軽減できるでしょう。
ここまで規格住宅のメリット・デメリットについて見てきましたが、あらためてその特徴を整理してみましょう。
規格住宅とは、あらかじめ用意された設計プランや仕様の中から選んで建てる住宅のことです。
注文住宅のように一から自由に設計するのではなく、用意された選択肢の中から間取りや設備を決めるスタイルです。
その特徴は、以下の5つに集約されます。
▸建築コストを抑えられる
▸打ち合わせの労力を低減できる
▸引っ越しまでの期間を短くできる
▸設計・デザイン・間取りの自由度が制限される
▸特殊な条件を持つ土地では建築が難しい場合がある
コストや時間を重視しつつ、安心して家づくりを進めたい方にとって、規格住宅は非常に合理的な選択肢です。
一方で、世界にひとつだけの家を実現したい方にとっては、自由度の低さが気になることもあるでしょう。
規格住宅は、注文住宅と建売住宅のちょうど中間に位置する存在です。
注文住宅が「オーダーメード」、建売住宅が「レディーメード」だとすれば、規格住宅は「カスタムメード」と言えるでしょう。
注文住宅は、設計の自由度が非常に高く、外観や内装、設備や間取りに至るまでお施主さまの希望を一から反映できます。
「世界にひとつだけの家」をつくれるのが最大の魅力ですが、選択肢が多い分コストがかさみやすく、意思決定に時間がかかります。
規格住宅は、用意されたプランや仕様の中から選んで建てるスタイル。間取りやデザインの大幅な変更は難しいものの、壁紙や設備の色など、ある程度のカスタマイズは可能です。
自由度が低い分、コストが抑えられ、選ぶ労力も減るという利点があります。結果として、限られた予算や時間の中でも、満足度の高い家づくりがしやすくなります。
「すべて自分で決めたい」「こだわりを最大限に反映させたい」という方は注文住宅。「ある程度選択したい」「効率よく家を建てたい」という方には、規格住宅がぴったりの選択肢です。
規格住宅は、特定のニーズやライフスタイルを持つ方にとって、非常に現実的で満足度の高い選択肢となります。以下のような方には、とくにおすすめです。
限られた予算内で、できるだけ品質の高い家を建てたい方には、規格住宅がぴったりです。
設計費や建材コストが抑えられるだけでなく、予算オーバーのリスクも小さくなります。
仕事や育児で忙しく、打ち合わせに多くの時間を割けない方にも向いています。
選択肢の中から選ぶだけなので、短期間で入居まで進めやすく、家賃とローンの二重支出のリスクも軽減できます。
細部まで自分で決めたいという強いこだわりがない人には、選択肢が多すぎないことがメリットになるでしょう。
しかも、プロが厳選したデザインや間取りは一般的に住みやすく、飽きのこないものが多いため安心です。
これらのタイプに当てはまるのであれば、規格住宅が「理想に近い暮らしを無理なく手に入れる」ための有効な選択肢となるはずです。
》規格住宅(セミオーダー住宅)とは?特徴や注文住宅との違いを解説
規格住宅は、注文住宅ほど自由に設計できないものの、その分コストや手間を抑えて家づくりを進められるところが大きな魅力です。
「こだわりすぎず、でも自分たちらしい暮らしをかなえたい」⸺ そんな方にとって、規格住宅はまさに「ちょうどいい選択肢」かもしれません。
本稿で紹介したメリット・デメリット、そして注文住宅との違いを参考にしながら、あなたやご家族に合った住まいのカタチをぜひ見つけてください。
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