更新 住宅の知識
「注文住宅を建てたいけど、何から始めればいいのか分からない……」「住宅ローンや土地探し、建築会社選びなど、考えることが多すぎて不安……」と悩んでいませんか?
確かに、家づくりは複雑で難しいプロセスに思えますが、その流れや注意点を段階的に理解すれば大丈夫です。スムーズに進められるだけでなく、失敗するリスクを下げられますよ。
本稿では、注文住宅を購入する際の流れや期間、注意すべきポイントを解説します。あなたも、本稿で迷いや不安を解消して、理想の住まいを手に入れる準備を始めてみませんか?
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家づくりのプロセスは複雑に思えますが、それは細かく見すぎているからかもしれません。抽象化して、徐々に細分化していくと、全体像を把握しやすくなりますよ。
まず、家づくりのプロセスを大別すると「住宅ローンを借りる、土地を購入する、家を建てる」の3つに分けられます。土地があって、全額自己資金で建てる方は「家を建てる」のみです。
「家を建てる」は、大別すると「建築会社選び・契約、設計打ち合わせ、工事」に分けられます。工事も、建て替えの場合は「解体工事、新築工事」に分けられるでしょう。
さらに、最初の準備として「資金計画、希望条件の整理」を付け足してください。最後に「引き渡し」を加えると、全体像になります。少し補足して、まとめてみます。
1.資金計画(予算・住宅ローンの検討)
2.希望条件の整理
3.土地探し(土地なしの場合)
4.建築会社選び(間取りプランと見積書作成)
5.建築工事請負契約
6.詳細打ち合わせと設計の確定
7.解体工事(土地あり・古家ありの場合)
8.建築工事(着工から竣工まで)
9.代金精算・引き渡し・登記
では、上記のプロセスについて、順番に詳しく解説していきましょう。
注文住宅の建築は、とても大きなプロジェクトです。成功するには、綿密な予算検討が不可欠でしょう。
予算検討のステップは、以下のふたつに大別できます。
1.資金総額を把握する
2.予算配分を考える
資金の総額は、一般的に「自己資金、住宅ローン借入金、近親者からの援助」で構成されるでしょう。それぞれ、早めに金額を把握しておきましょう。
とりわけ住宅ローンは難解かつセンシティブな事項のため、借入可能額の算出を後まわしにする方が少なくありません。早めに金利タイプを検討しておき、事前審査(仮審査)を受けておきましょう。
金利タイプの選び方が分からない方は、以下の記事を参考にしてください。
》住宅ローンは「変動金利・固定金利」どっちがお得?比較検討のヒント
資金の総額が分かったら、以下の予算配分を考えます。
▸土地取得費
▸建築工事費
▸諸費用
とは言え、家づくりにどんな費用がかかるのか、一般の方には分かりづらいでしょう。ですから、不動産会社や建築会社に確認するのが確実です。
気になる不動産会社や建築会社に「資金計画表をつくってほしい」と依頼すれば、上述の費用をリストアップしてくれます。複数社に依頼して、比較しながら費用を把握すると、抜け漏れを防げます。
なお、予想外の事態にも対応できるように、5~10%程度の資金を予備費としておくと安心です。
注文住宅の最大の魅力は、自分たちの好みやライフスタイルに合わせて自由に設計できることでしょう。理想の住まいを実現するために、希望条件を整理しておきましょう。
希望条件を整理するステップは、以下のふたつに大別できます。
1.情報収集
2.家族会議
何も情報がない状態から、理想の家のイメージを思い描くのは困難です。まずは、最新の注文住宅について情報を収集するところから始めましょう。
おもな情報源は、以下のとおりです。
▸住宅雑誌やカタログ
▸住宅展示場やモデルハウスの見学
▸現場見学会や完成見学会
上述の情報源を使うと、注文住宅に関するさまざまな情報のピースが集まります。しかし、ジグソーパズルと違い、余計なピースも混じっています。
ですから、そのピースの中から、あなたのご家族が思い描く《理想の家》に必要なピースを拾い上げていきましょう。
住宅の《デザイン・間取り・設備・性能》など、家族で理想の家の方向性を話し合ってみてください。希望条件が出てきたら、リストにしておくことが大切です。
たとえば、以下のような条件について家族で話し合い、希望が固まったらリストに加えます。
▸住みたいエリア
▸好みのデザイン
▸必要な間取りや広さ
▸好みの住宅設備
▸必要な性能(省エネ性、耐震性など)
▸どんなふうに暮らしたいか
希望条件をリストアップできたら、優先順位を付けます。すべての希望を叶えられない場合に備えて、絶対に譲れない条件と妥協できる条件を明確にしておきましょう。
土地探しは、家づくりと同じくらい重要なプロセスです。土地しだいで、理想の家が実現するかどうかや、暮らしやすいかどうかが決まる場合があります。
土地探しのステップは、以下の3つに大別できます。
1.情報収集
2.不動産会社に相談
3.候補地の絞り込み
まずは、希望エリアで売りに出されている土地の情報を見ながら、価格相場を把握しましょう。情報源としては、不動産情報のポータルサイトや国交省の「不動産情報ライブラリ」が有用です。
相場が把握できたら、不動産会社へ相談に行きましょう。希望条件を伝え、条件に合う土地を紹介してもらいます。
なお、この時点で建築会社にも相談することをおすすめします。建築会社によっては、土地探しをサポートしてくれる場合があります。
気になる土地が見つかったら、建築会社にも一緒に見てもらうとよいでしょう。建築する立場から、意見やアドバイスをくれます。
土地のおもなチェックポイントの例をご紹介しましょう。
▸広さ
▸形状
▸方位
▸法規制
▸インフラ
▸高低差
▸日当たり
▸風通し
▸水はけ
▸音やニオイ
▸利便性
▸交通アクセス
▸学区
▸治安
▸資産性
▸町内や隣人の様子
なお、上述のチェックポイントも優先順位を付けておくとよいでしょう。
土地を購入される際は、予算のバランスを考慮することがとても大切です。土地に費用をかけすぎると、建築費用に予算を回せなくなります。
また、あとからお金のかかる土地を避けることも大切です。家を建てる前に、100万円以上余分にかかるケースもあります。たとえば、こんなケースです。
▸古家付き ⇒ 解体費用が必要
▸軟弱地盤 ⇒ 地盤改良工事が必要
▸水道の引込がない ⇒ 上下水道の引込が必要
建築会社と一緒に土地を探すと、上述のような注意点を指摘してくれるでしょう。
注文住宅を建てるうえで、建築会社選びは非常に重要な選択事項です。なぜなら、建築会社によって得意とするデザインや工法、価格帯、サービスなどが大きく異なるからです。
自分たちの希望や予算に合った会社を選ぶことが、理想の住まいの実現につながります。長い付き合いになることも、考慮しましょう。
建築会社選びのステップは、以下の4つに大別できます。
▸情報収集
▸候補会社の絞り込み
▸相談、間取りプランと見積書を作成
▸比較検討、決定
まずは、建築会社の情報収集から始めましょう。情報源として有用なものをあげておきます。
▸資料請求
▸住宅雑誌
▸Webサイト
▸住宅展示場、モデルハウス
▸現場見学会、完成見学会
展示場やモデルハウスの見学に初めて行く際、意外と緊張される方が多いようですが、心配要りません。現地のスタッフも、みんな普通の人間です。気楽に行って、大丈夫です。
展示場やモデルハウスのマナーや注意点が気になる方は、以下の記事をご覧ください。
》モデルハウス見学の注意点は?マナーはある?【初めての見学ガイド】
広島県で注文住宅をご検討中の方は、ぜひ創建ホームのモデルハウスをご活用ください。トレンドの設備や暮らしやすい間取りのアイデアなど、家づくりのヒントが満載ですよ。
建築会社選びをされる際の重要な確認項目をご紹介しましょう。
▸得意とするデザイン、工法
▸価格帯
▸サービス内容
▸会社規模
▸評判
▸施工事例
▸担当者の力量や人柄
情報収集が終わったら、候補の会社を2~3社程度に絞り込み、間取りプランと見積書を作成してもらいましょう。
その際、担当者とよく打ち合わせをしながら、以下のことを確認しておきましょう。
▸要望を丁寧に聞いてくれたか
▸要望を踏まえた具体的な提案をしてくれたか
▸見積内訳が明確で、金額が予算内に収まっているか
▸コミュニケーションがスムーズだったか
▸質問に対して、分かりやすく丁寧に答えてくれたか
▸会社の雰囲気や担当者の熱意、誠実さなどのレベルが高いか
住宅は、一生に一度の大きな買い物ですので、じゅうぶんな時間をかけて検討することが重要です。ご紹介した確認事項を参考に、総合的に判断し、もっとも自分に合った会社を選びましょう。
建築を任せる会社が決まったら、建築工事請負契約へと進みます。契約書には建築工事の内容や工期、費用や支払条件などが詳細に記載されていますので、理解してから契約を進めてください。
内容をしっかりと理解しないまま署名してしまうと、後々トラブルに発展する可能性があります。確認事項の例をあげておきますので、参考にしてください。
▸工事内容:間取り・仕様・設備など、どのような家を建てるのか
▸工事費用:建築費用・付帯工事費用・諸費用など
▸工期:いつから工事を始めて、いつまでに完了させるのか
▸支払条件:着工金・中間金・完成時の支払いなど
▸遅延:工事の遅延が発生した場合の責任やペナルティなど
▸瑕疵:工事の瑕疵(欠陥)があった場合の責任や保証内容など
▸解除:契約を解除する場合の条件・手続き・違約金など
繰り返しになりますが、契約書の内容はすべて理解することが重要です。不明な点があれば、必ず担当者に確認しましょう。
とくに、契約条項を記した約款(やっかん)が難解です。建築会社によっては、頼めば事前に約款部分のコピーをくれます。一読してから契約にのぞむと安心です。
建築工事請負契約を締結したら、実際に工事で使う詳細な図面や仕様書を作成していきます。間取りや設備、内装、外装など、具体的にどんな製品や建材を使うのかを決めます。
▸間取り:部屋の配置、広さ、動線など
▸設備:キッチン、浴室、トイレ、洗面台など
▸内装:建具、床材、壁材、天井材など
▸外装:外壁材、屋根材、窓など
▸躯体:断熱材、換気システムなど
▸電気:スイッチ、コンセント、照明など
図面が整ったら、建築確認(行政の建築許可審査)申請をおこないます。申請後は図面の変更が難しくなりますので、変更が発生しないようにしっかり設計内容を決めることが大切です。
詳細打ち合わせは家づくりで一番楽しいステップですが、慎重に進めるべきステップでもあります。
建築確認で承認されたら、いよいよ工事に進みます。建て替えの場合や古家付きの土地を購入した場合は、まず既存の建物やお庭を取り壊して更地にします。
解体工事は以下の流れで進んでいきます。
▸解体業者による現地調査
▸現地調査の結果にもとづいて見積もり
▸解体業者と契約を締結
▸近隣住民への工事前挨拶
▸重機などを用いて建物や庭を解体
▸更地にするための整地作業
▸施主による確認のあと問題がなければ工事完了
解体工事は、専門性の高い工事です。信頼して廃棄物処理まで任せられる業者を選びましょう。建築会社が解体工事を請け負ってくれたり、協力会社を紹介してくれたりする場合もあります。
なお、アスベストや地中埋設物が見つかった場合は、撤去に別途費用がかかります。
いよいよ新築工事に取りかかります。工事の流れをご紹介しましょう。
なお、建築工事は建物の構造や工法、敷地条件により、工事の流れが異なります。以下の流れは目安とお考えください。
1.着工準備:近隣住民への挨拶や地鎮祭
2.基礎工事:地盤改良工事や建物の土台となる基礎の築造
3.躯体工事:建物の骨組みを組み立て
4.上棟式:棟上げのあと上棟式をおこなう場合がある
5.屋根工事:屋根を葺く
6.外装工事:外壁材張り、窓や玄関ドアの取り付け
7.内装工事:壁や天井の下地をつくり、内装材で仕上げる
8.設備工事:電気、水道、ガスなどの設備を設置
9.竣工:建物完成
10.完了検査:行政による検査、図面どおりに施工されたか確認
11.施主検査:建築主による検査、不具合などがないか確認
工事中は、建築会社に連絡のうえ、定期的に現場を訪れてみましょう。気になるところがあれば、すぐに現場監督に伝えるとよいです。
工事が後半に差しかかったら、火災保険や表題登記の準備、照明器具・エアコン・カーテンの購入を進めましょう。
完了検査や施主検査が終わったら、いよいよお引き渡しです。お引き渡しは注文住宅建築の最終段階であり、重要なプロセスですから、事前に流れと注意点を理解しておきましょう。
お引き渡し時には、以下のことが同時に進行します。銀行や司法書士など、関係者と密に連絡を取り合いながら、スムーズに遂行できるようにしましょう。
▸建築工事代金の精算
▸建物の引き渡し
▸所有権保存登記
注文住宅の建築工事では、一般的に複数回の分割払いで代金が精算されます。支払いのタイミングは、契約時・着工時・上棟時・完成時など、建築会社や契約内容によって異なります。
工事か完了したら残金を支払い、残金の支払いが終わったら建物が建築主に引き渡されます。引き渡し時には、鍵の受け渡しや設備の説明、書類の確認などをおこないます。
引き渡しと同時に、所有権の保存登記をおこなう必要があります。登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的です。
注文住宅の購入にかかる期間は、土地の有無やさまざまな要因によって異なります。目安としては、土地なしの場合で「1年から1年半」程度。土地ありの場合で「半年から1年」程度必要です。
土地探しは1~6か月程度かかるケースが多いですが、1年以上かかる方もおられます。ですから、土地探しから始める場合は、遅くとも入居希望日の1年半ほど前から動き出すのがおすすめです。
とりわけ、人気のあるエリアの土地は競争率が高く、すぐに売れてしまう可能性が高いです。タイミングよく購入に成功するまで、相当に時間がかかる場合があるとお考えください。
すでに土地を持っている場合や、親御さまから譲り受ける場合は、土地探しにかかる期間を省略できます。それでも、1年から1年半程度の期間は必要です。余裕を持って、スタートしましょう。
家づくりでは、土地探しと建築会社選びに時間がかかります。そこをどれだけスムーズに進められるかが、所要期間を短縮するポイントになります。
行動経済学によると、人間には現状維持(何もしない)行動を取ってしまう性質があるそうです。ですから、まずはどんな些細なことでもよいので、具体的に最初の第一歩を踏み出すことが重要です。
たとえば、こんなことから始めてみてはいかがでしょうか?
1.複数の建築会社に資料を請求してみる
2.家づくりセミナーに参加してみる
3.モデルハウスや住宅展示場に行ってみる
4.現場見学会や完成見学会に参加してみる
5.住宅ローンの事前審査を受けてみる
多くの方にとって、上述の順番でハードルが上がるのではないでしょうか?ぜひ、1から順番に、ひとつずつチャレンジしてみてください。家づくりが、具体的に進んでいきますよ。
家づくりの流れをご紹介しました。実際の順序は、土地や建築主さまの個別事情により入れ替わるケースが多いと思います。同時に進行する部分も、少なくありません。
ですから、全体の流れの理解と、臨機応変な対応が求められます。早めにパートナーとなる建築会社を決め、アドバイスをもらいながら進めていくと、失敗を防ぎやすいでしょう。
広島県で新築をご検討中の方は、ぜひ創建ホームのカタログ請求をご活用ください。トレンドの設備や暮らしやすい間取りのアイデアなど、家づくりのヒントが満載ですよ。