
更新 間取りのこと

新築の間取りの検討中に、ご両親から「客間はないの?」の一言⸺ほぼ固まっていた図面の前で、「え、客間?いる?」と困惑していないでしょうか。
ご両親が泊まりに来るのが年に2~3回なら、「そのための部屋に予算を使う?」「客間はいらないのでは?」と悩みますよね。一方で、来てくれた親をリビングの床に寝かせるのも失礼な気がします。
じつは、客間は「つくる・つくらない」の二択ではありません。現代では、他の部屋と兼用にする方法も取り入れられています。選択肢の選び方も含め、詳しく見ていきましょう。
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客間とは、来客を通し、過ごしてもらう部屋です。必要かどうかは、ご自宅の来客の頻度を考えると、ある程度見えてきます。
さっそく、3つのステップで判定していきましょう。客間の用途を整理し、1年間の使用頻度を数え、その数字を目安と照らし合わせてみてください。
最初に決めたいのは、ほしいのが「もてなす部屋」なのか「泊まってもらう部屋」なのか、という点です。同じ「客間」という言葉でも、この2つは必要な家具も内装も違います。
たとえば、ゲストに座っていただきお茶を出す場所(応接間)にするなら、ベッドや布団を敷くスペースは要りません。反対に、ソファやセンターテーブルなどのセットがあると便利です。
一方で泊まってもらうための部屋(ゲストルーム)なら、ベッドや布団が必要でしょう。どちらも兼ねたい場合は、和室にすれば、日中は座卓を置き、夜は布団を敷けます。
用途が決まったら、実際に使う回数を数えましょう。近年では、リビングルームが応接間を兼ねるケースが多いので、泊まってもらう部屋で考えてみます。
泊まりがけの来客が、年に何回あるでしょうか。ご自宅の、直近3年を思い出してみましょう。数えるのは、次の3つです。
▸ 年間の来客回数(泊まりを伴うもの)
▸ 1回あたりの人数
▸ 1回あたりの泊数
たとえば「お正月に義理のご両親が2人で2泊、夏に妹の家族が4人で2泊」⸺この場合は、年2回・最大4人・合計4泊です。
この宿泊頻度のために、1室を設けるほうがいいのか。それとも別の方法を検討すべきなのか、考えてみてください。
ここで、客間が必要な人と、なくても困らない人の特徴を考えてみましょう。
分かれ目になるのは、やはり「年間の宿泊数」です。数えた泊数を、次の3段に当てはめてみてください。
▸ 0~1泊:なくても困りにくい状態。年に一度ならリビングに布団を敷く方法もある。
▸ 2~5泊:専用の部屋より、ふだん使える部屋(和室や書斎など)との兼用が現実的。
▸ 6泊以上:長期滞在になる場合、専用の客間があると、迎える側も泊まる側も気をつかわずに済む。
この3段は、迎える側の手間と部屋の使用頻度を照らし合わせた目安です。
統一された基準があるわけではありません。ご家族の事情に合わせて、考えてみてください。
もうひとつの判断軸が、将来の同居です。今は泊数が少なくても、ご両親と一緒に暮らす可能性はありませんか。
あるなら、1階に1部屋を確保しておくと安心です。あとから間取りを変える工事を、避けやすくなります。
どちらが正解ということはありません。使う回数と、建築コスト(占める面積や予算)⸺この2つを天秤にかけ、自分に合うほうを選んでください。

次は、客間をつくった方が口にする注意点を見てみましょう。よくあがるのは、以下の3つです。
▸ 建築費用の増加につながる
▸ 日常的に使う空間を圧迫する場合がある
▸ 使用頻度の低さから、物置化しやすい
先に知っていれば、納得して選べます。あらかじめ対策を打つことも、できるかもしれません。
詳しく見ていきましょう。
部屋を1つ増やせば、その床面積ぶんの建築費が上乗せされます。金額は、家全体の単価から大まかに見積もることが可能です。
一般社団法人 住宅生産団体連合会の調査「2024年度 戸建注文住宅の顧客実態調査」によると、以下のような結果が出ています。
▸ 平均延床面積:122.5m²
▸ 平均建築費:4,760万円
▸ 1m²あたりの単価:38.8万円
このデータをもとにして計算すると、6畳は約9.92m²で「約385万円」。4.5畳なら約7.44m²で「約289万円」です。
ただし、この単価は家1軒ぶんの平均的な建築費を平均的な延床面積で割った数字です。基礎も屋根も水回り設備も含んだ金額です。和室を1室足したときの追加費用そのものではありません。
また、この調査のサンプルは、94.6%が住団連の企業会員が手がけた住宅です。大手ハウスメーカーが中心のため、粗い目安として見てください。
参考:一般社団法人 住宅生産団体連合会「2024年度 戸建注文住宅の顧客実態調査」
正確な金額を知りたいときは、打ち合わせで「客間をなくすと(増やすと)、見積もりはいくら変わりますか」と聞いてみてください。
客間を設けると、他のお部屋の面積を圧迫する場合があります。
じつは、建てられる延床面積(各階の床面積の合計)には、土地ごとに上限があります。建築基準法により、容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)の上限が定められているためです。
敷地がコンパクトで、容積率の上限いっぱいまで床面積を使う計画なら、1部屋を足せばどこかにしわ寄せがいきます。たとえば、LDKが2畳狭くなる、玄関の収納が消える、といった相殺が起こります。
年に数回しか使わない部屋のために、LDKが少し窮屈になる。玄関が、物であふれやすくなる⸺費用よりも、住んでから後悔しやすいのはこちらです。
だからこそ、客間は「いくらかかるか」だけで決められません。あわせて「どこが縮むか」を図面で確かめ、それを受け入れられるかどうか、検討してみてください。
関連:30坪の家の間取り実例 – 工夫すれば狭小地でもオシャレ&低予算で建つ
年に数回しか使わない部屋は、いつのまにか納戸になりがちです。片づけが苦手だから起きるというより、しばらく片づけなくていいから、つい物を置いてしまうのです。
そして親が泊まりに来る前日に、その部屋の大片づけが始まります。これでは、最初からリビングに布団を敷くほうが早いかもしれません。
物置化を避けたいなら、管理の手間も計算に入れておきましょう。日々の掃除と換気、そして物を置かない努力が必要です。

ここまで注意点を見てきましたが、客間には代えがたい良さもあります。
大きく2つ。来客への対応がラクになることと、来客以外の使い道が広いことです。順番に詳しく見ていきましょう。
客間のいちばんの魅力は、来客のたびにリビングを片づけなくてよくなることです。急な訪問でも、通す部屋が別にあれば、部屋干しの洗濯物を寝室へ運ばずに済みます。
泊まりの場合の魅力は、もっとはっきりしています。泊まる側は、人目を気にせず着替えや荷ほどきができます。就寝や起床の時間も、合わせる必要がありません。
客間は、ふだんはあまり使わない部屋かもしれません。それでも、いつでもゲストを家に上げられる安心感は、来客が多いご家庭にはメリットと言えるでしょう。
1階にある個室は、暮らしの変化に合わせて役割を変えられます。たとえば、以下のような使い方ができるでしょう。
▸ 階段の上り下りがつらくなったときのご自身の寝室
▸ ご両親と同居することになったときの部屋
▸ 家族が感染症で寝込んだときに、寝る場所を分ける部屋
どの使い方でもカギになるのは、トイレや洗面との近さです。客間との距離に問題がないか、図面で確かめておきましょう。

「ムダな空間はつくりたくない」と、スペースパフォーマンス(空間の使い方の満足度)を重んじる方ほど考えるでしょう。もしも「客間をつくらない」と決めた場合、ゲストをどう迎えればいいでしょうか?
まず代替案として考えられるのは、以下の方法です。
▸ ほかの部屋と兼用にする
▸ 近隣のホテルに泊まってもらう
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
もっとも現実的なのは、ふだん使っている部屋を、来客のときだけ客間にする方法です。専用の1部屋を持たずに済み、床面積も増えません。
取り入れやすいのは、和室やリビング横の畳コーナーです。ふだんは洗濯物をたたむ場所やお子さんの遊び場として使い、来客時だけ引き戸で仕切ります。
広さの目安は、布団を来客の数だけ敷いても通路が残るかどうかです。家具を置いているなら、それがジャマにならないかも、あわせて見ておきましょう。
書斎や子ども部屋で寝てもらう手もあるでしょう。ただし、それを見越して設計しておくことが大切です。
たとえば、押し入れがない部屋で泊まりの来客を迎える場合、寝具をどうするか考えておく必要があります。来客用の布団はかさばるので、収納の場所も決めておきましょう。
床から起き上がるのがつらい方が泊まるなら、簡易ベッドも候補です。布団にこだわらず、泊まる方に合わせて選びましょう。
近隣のホテルに泊まってもらうのも、ひとつの方法です。年に1~2泊のために1部屋をつくるのと、どちらがご自宅に合うでしょうか。
ただし、年末年始やお盆は予約が埋まりやすく、料金も上がります。突然の来客には、対応しづらい側面もあります。
関連:スペパ住宅とは?注文住宅で空間を有効活用する家づくりのポイントを解説
客間は「つくる・つくらない」の二択ではありません。まずは、1年間の宿泊数を数えてみましょう。将来の役割もあわせて整理します。
専用の部屋にこだわらず、兼用も視野に入れてみてください。数字と兼用案を持って、建築会社と一緒に考えるのが近道です。
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