
更新 間取りのこと

玄関を開けると、すぐリビング ⸺ 。最近注目されている間取りですが、「便利そうだけど、生活感が丸見えにならない?」「寒さやニオイは大丈夫?」など、不安を感じる方も多いでしょう。
じつはこの間取り、ただの流行ではなく、住まいの価値観の変化や建築性能の進化といった時代背景から選ばれています。一方で、取り入れ方を誤ると後悔につながるポイントがあるのも事実。
本稿では、玄関直結リビングのメリットだけでなく、デメリットと対策も分かりやすくご紹介します。読み終えるころには、自分の暮らしに合うかどうか、納得して判断できるはずです。
| 目次 |
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近年、玄関を開けるとすぐリビングにつながる間取りが注目されています。便利そうに見える一方で、「なぜこういう家が増えた?」「本当に住みやすいの?」と疑問を抱く方も少なくありません。
そこでまずは、この間取りが選ばれている理由を整理しておきましょう。背景を知ることで、メリットとデメリットの意味がクリアになり、後悔のない判断がしやすくなります。
さらに、住宅会社との打ち合わせでも、間取りの意図を理解したうえで話ができるようになります。
「玄関からすぐリビング」という間取りは、単なる流行ではなく、現代の住まいや社会の変化から必然的に選ばれるようになった間取りです。
近年は住宅価格が上がり、建売・注文住宅ともに「30坪前後のコンパクトな家」が主流になりました。
限られた面積の中で「できるだけLDKを広くしたい」「廊下や玄関ホールなどは削りたい」という要望が増えています。
また、共働きの子育て世帯が増え、「生活動線の短さ」や「家事のラクさ」が住まいの満足度を大きく左右するようになりました。
そのため、「玄関 ⇒ すぐリビング」の廊下を挟まないルートが注目されています。このルートなら帰宅時に最短でLDKにアクセスでき、お掃除の区域も減るため合理的と考えられています。
帰宅動線を最短化したい場合や、お掃除する区域を減らしたい場合は、玄関直結リビングは非常にフィットする選択肢です。
さらに近年の「暮らし方の変化」と「建築技術の進化」が、この間取りを後押ししています。
まず、コロナ禍を経て、来客が減ったことが大きな理由のひとつです。昔は「玄関ホールでお迎えする」場面がよくありましたが、今は家族以外が頻繁に訪れる家は多くありません。
そのため広い玄関ホールの必要性が低下して、「面積をLDKや収納に回すほうが合理的」という判断がされるようになりました。
また、建物の気密性・断熱性能が向上したことで、玄関が寒くなくなっていることも理由のひとつです。その結果、玄関とリビングを近づけても快適に暮らせる環境が整ってきたと言えます。
玄関直結リビングの実例をご紹介しましょう。

玄関を開けた瞬間、目に飛び込んでくるのは、土間から小上がりの和室へとゆるやかにつながる空間です。
あたたかな照明が落とす柔らかな陰影と、畳の香りが静かに漂う穏やかな空気感。帰宅するたび、ほっと心がほどけていくような、やさしい迎え方をしてくれる住まいです。

視線を左へ移し、奥へと目を向ければ、自然光がたっぷりと注ぎ込む開放的なLDKが広がります。玄関からは直接見えない絶妙な配置によって、プライバシーもしっかりと守られています。
玄関を開けた瞬間から、自然と生活の中心へと誘われるような一体感 ⸺ 廊下を設けず、空間を大胆につなげたダイレクトな動線が、日々の暮らしに心地よいリズムをもたらしてくれます。

玄関直結リビングは便利な一方で、取り入れ方を誤ると「思ったより暮らしにくい……」と感じる場面もあります。ただし、どれも設計の工夫でしっかり対策できるものばかりです。
ここからは、代表的なデメリットと、その不安を解消する具体的な方法をご紹介します。
玄関直結リビングでは、玄関を開けたときにリビングが丸見えになり、プライバシーを確保しにくくなるケースがあります。
リビングは、家族が一番くつろげる場所。玄関から直結の場合、生活感や散らかった様子が外から見えやすくなり、家族が落ち着けない原因になることもあります。
そのため、この間取りを採用する場合は「視線コントロール」がとても重要になります。たとえば ⸺
▸リビングの位置を玄関ドアの正面からずらす
▸玄関とリビングを半透明の引き戸などで区切る
▸外構で視線をカット(門塀・植栽など)
といった工夫で、丸見え問題を改善できます。
視線を通さない工夫を取り入れれば、直結の便利さはそのままに、「プライバシーもしっかり守られたリビング」を実現できます。
玄関ドアや窓は外気温の影響を受けやすいため、玄関とリビングが直接つながっていると、冷暖房効率が下がりやすくなります。
冬はリビングの熱が外に漏れ、夏は外の熱がリビングに流れ込みます。その結果、室温が安定しにくくなり、エアコンが余計に働くことに。
この問題も、以下の対策で改善できます。
▸物理的な仕切りを設ける
▸断熱・気密性能を高める
開閉できる引き戸や引き込み戸を設置すれば、真夏・真冬だけ、リビングと玄関を切り離すことができます。
断熱材やサッシのグレードアップや、高断熱玄関ドアの採用など、玄関の断熱性能を底上げすることで外気の影響を減らす工夫も欠かせません。
仕切りや断熱性能をしっかり整えれば、直結でも快適さと省エネの両立が可能になります。
玄関直結リビングでは、靴や土間収納のニオイ、そして湿気がリビングへ広がりやすくなります。
玄関は「靴・傘・スポーツ用品・資源ゴミの仮置」きなど、ニオイや湿気が発生しやすい場所です。仕切りがないと空気がそのまま流れ込み、リビングの快適性が下がる原因になります。
そこで必要なのが、「ニオイ対策+空気の流れを制御する工夫」です。たとえば ⸺
▸玄関の換気を強化する
▸空気の通り道を調整する
玄関収納などに換気窓を設けると、ニオイを排出できます。引き戸やドアを設置して、必要なときに空間を仕切れるようにするのも、ひとつの方法です。
また、吸気口と排気口の位置を工夫し、玄関からリビングに空気が流れにくい設計にしておくことも重要です。
換気と空気の流れを整えれば、玄関直結リビングでも空気環境を快適に保つことができます。

玄関直結リビングは、じつは多くの人が合理的な理由で選んでいる間取りです。
ここではその魅力と、暮らしにどんなプラスがあるのかを分かりやすく整理してご紹介します。
玄関直結リビングは建築コストを抑えやすく、また削ったスペースを他の間取りに回せるのが大きな魅力です。
廊下や玄関ホールといった「非居室スペース」を最小限に抑えれば、その分の建築工事が不要になります。その結果、建築材料費と施工費の両方を削減できます。
削ったスペースは、LDKや収納スペースに回すことも可能です。たとえば玄関ホールを充実させるより、土間収納を広げるほうが、家全体が片付いて快適に暮らせるかもしれません。
非居室スペースを減らしてコストと面積を有効活用することで、限られた坪数でも満足度の高い住まいを実現できます。
玄関からリビングへ最短距離でアクセスできると、日常のさまざまなシーンで「便利さ」を実感できます。
玄関直結リビングは、買い物帰りの荷物運びや、お子さんを抱えての帰宅時など、毎日の帰宅動作がラクになります。
玄関近くに収納を設ければ「玄関 ⇒ 収納 ⇒ リビング」の流れが生まれます。アウターやお出かけに必要な身の回り品がリビングに入り込まず、家が散らかりにくくなるのもメリットです。
また、動線が効率化されるだけでなく、自然なコミュニケーションを生む効果もあります。
家族が帰宅すると必ずリビングを通るため、「ただいま」「おかえり」が自然に生まれます。外出・帰宅の気配も、把握しやすくなるでしょう。
日々の家事負担を軽くしたい人や、家族のつながりを大切にしたい人にとって、玄関直結リビングの動線はとても合理的な選択肢になります。

玄関直結リビングは、「便利で暮らしやすい」と感じる人がいる一方で、「ちょっと不安……」と思う人もいます。
しかし、この間取りはメリットとデメリットがはっきりしているため、自分の価値観や生活習慣に合うかどうかを事前に見極めやすいでしょう。
参考まで、むいている人とむいていない人の特徴をご紹介します。
玄関直結リビングは、以下の人にとても相性のよい間取りです。
▸家や生活動線をコンパクトにしたい人
▸家族のコミュニケーションを大切にしたい人
▸気密性と断熱性をしっかり確保できる家を建てる人
▸整理整頓や生活感を減らすのが得意な人
上述の特徴に複数当てはまる場合は、玄関直結リビングの間取りを検討してみてはいかがでしょうか。
とくに、コンパクトな敷地に家を建てる方の強いミカタになってくれるでしょう。
一方で、次のような価値観の人は、玄関直結リビングのデメリットを受けやすい傾向があります。
▸プライバシーをしっかり確保したい人
▸温度変化に敏感な人(暑さ・寒さが気になる)
▸玄関まわりのニオイが気になる人
▸玄関とリビングの間に明確な区切りがほしい人
玄関を開けたときの視線や温度変化、ニオイが気になる人は、慎重に検討したほうが安心です。
ただし、仕切りとなる引き戸の設置・換気の強化・高断熱仕様などの対策を盛り込むことで、理想の住まいに近づけることも可能です。
玄関直結リビングの間取りが気になる方は、一度、建築会社に相談してみてください。
玄関直結リビングの間取りには、動線の短さや空間効率の高さなど、多くの魅力があります。一方で、プライバシーや室温の問題、ニオイ対策など、注意が必要な側面もあります。
大切なのは、この間取りが自分の暮らし方や価値観に合っているかどうか。メリットとデメリットを理解したうえで、必要な対策を取り入れれば、快適で後悔しない住まいがつくれるでしょう。
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