
更新 住宅の知識

新築の図面に並ぶ、照明の小さな記号。その配置で夜のリビングがどのくらい明るくなるのか、想像しにくいものですよね。
真夜中に目が覚めてトイレへ行ったら、照明が思ったより明るく、すっかり目が覚めてしまった⸺照明の後悔は、こうしてしばらく暮らしてみないと気づけないのがやっかいです。
住む前にできるのは、基礎知識とよくある失敗、そしてご自身がほしい明かりを知っておくこと。
この記事では、計画を始める時期から器具の種類、部屋別のポイントまでまとめて紹介します。読み終えるころには、担当者の照明プランを自分の目で確かめられるはずです。
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照明は、配線やスイッチと一緒に決まるため、建ててからでは直しにくい設備です。
計画を始める時期と、専門家(設計士、インテリアコーディネーターなど)の力の借り方から見ていきましょう。
照明器具の種類や数、配置は単独では決められません。家具のレイアウトと生活動線、スイッチやコンセントの電気配線と密接に関係します。
たとえば、食卓の上に付ける照明器具は、ダイニングの家具配置と一緒に検討する必要があります。天井や壁を張ったあとに照明を足すのも、配線の追加が必要になるため、簡単ではありません。
照明には、予算の確保も欠かせません。予算を決めるには、ある程度は照明の種類と数を決めておかねばなりません。
そのため、照明計画は新築計画の初期段階から、間取りや動線、電気配線計画、そして予算と一緒に検討を進める必要があります。
図面上の照明記号だけでは、光の広がりやグレア(まぶしさ)は分かりにくいもの。照度(照らされる面の明るさ)や光束(器具が出す光の量)の数字も、同様です。
自分で計画を立てる自信が持てないときは、設計士やインテリアコーディネーターなど、専門家の力を借りてみましょう。生活や動線に合わせた照明計画を提案してもらえるはずです。
プランをたたき台にすれば、自分で一から考えるより簡単、かつ失敗の少ない照明計画を立てられます。そのまま見積もりに出せば、予算もつかめるでしょう。
相談の前には、ご自身がほしい明かりの雰囲気も考えておきましょう。インテリア雑誌で好みの写真を探したり、照明がすてきな施設の写真を撮っておいたりすると、要望を伝えやすくなります。
実際の光を見るなら、モデルハウスが便利です。営業時間内のできるだけ遅い時間に訪れ、照明をつけてもらい、光の広がり方を見てみましょう。
照明のショールームが近くにあれば、そちらも参考になります。
関連:モデルハウス見学の注意点は?マナーはある?【初めての見学ガイド】

打ち合わせの前に、照明の基礎知識を押さえておくのがおすすめです。質の高い打ち合わせができるようになり、理想の照明計画を実現しやすくなります。
知っておきたいのは、照明器具の種類と特徴、光の色(色温度)の選び方、一室多灯照明の効果、間接照明の役割の4つ。順番にご説明します。
照明器具は、役割で分けると選びやすくなります。主な役割は「部屋全体を照らす・手元を照らす・雰囲気をつくる」の3つです。
どれか1つを選ぶのではなく、組み合わせることが大切です。
アンビエント照明は、部屋全体を照らすベースの明かり。天井に付けるシーリングライトや、天井に埋め込むダウンライトが代表的です。
シーリングライトは1台で広く照らせ、引掛シーリング(天井の差し込み口)に付けるタイプなら取り換えも簡単です。一方でダウンライトは、天井をすっきり見せられるところが魅力です。
まずは、各お部屋のアンビエント照明をシーリングライトにするかダウンライトにするか、そこから検討を始めてみてください。
タスク照明は、作業中の手元を照らす明かりです。たとえば、ダイニングテーブルの上に吊るすペンダントライトや、机に置くデスクライトなどがあります。
部屋全体を照らす照明だけでは、手元の明るさが足りないことがあります。作業する場所の近くから手元を照らすのが、タスク照明の役目です。アンビエント照明に足す形で検討しましょう。
アクセント照明は、雰囲気をつくるための明かりです。向きを変えられるスポットライトや壁に付けるブラケットライト、床に置くフロアライトが代表的です。
照らすのは、壁や天井、インテリアアイテム。絵に照明を当てて注目させたり、観葉植物をライトアップして葉の影を浮かび上がらせたりできます。
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光の色は、くつろぐ場所か、作業する場所かで選び分けるのが基本です。ここでは、使い分けの考え方がつかみやすい3つの色を紹介します。
▸ 電球色:赤みのある暖かい光。リビングや寝室など、くつろぐ場所に。
▸ 温白色:電球色と昼白色の中間の光。食事とくつろぎを兼ねるダイニングなどに。
▸ 昼白色:自然な白い光。キッチンや勉強机など、作業する場所に。
調光・調色(明るさや光の色を変えられる機能)付きの器具なら、1台で複数のシーンに合わせられます。夕食どきは明るく、寝る前は暖かい色で暗めに、といった使い方が可能です。
ちなみに、暖かい色にすれば睡眠に入りやすくなる、とは言い切れません。厚生労働省の睡眠ガイドによると、今のLED照明の光は、暖色に調光しても短波長光(ブルーライト)が多く含まれます。
色を変えるだけで安心せず、夜は明るさも控えめに調節しましょう。
一室多灯とは、1つの部屋に複数の明かりを置き、シーンごとにつけ分ける考え方を指す言葉です。天井の真ん中に1台だけの「一室一灯」と違い、明かりが必要な場所を個別に照らします。
具体的には、アンビエント照明を土台に、タスク照明とアクセント照明を重ね、シーンに合わせてつけたり消したりします。
重ねる明かりの明るさは、JIS Z 9125:2023(屋内照明基準)の推奨照度が目安になります。表でご紹介しましょう。なお、lx(ルクス)は照度の単位です。
▸ 居間:部屋全体 50lx/団らん・娯楽 200lx/読書 500lx
▸ ダイニングキッチン:部屋全体 100lx/食卓・調理台・流し台 300lx
▸ 寝室:部屋全体 20lx/読書・化粧 300lx
居間(リビング)の推奨照度は、部屋全体が50lx、読書が500lxです。天井の1台のみで部屋中を照らす場合、読書に合わせれば明るすぎ、部屋全体に合わせれば手元が暗くなります。
ですから、部屋全体を均一な明るさにするのはおすすめしません。種類の違う照明を組み合わせて、場所ごとに最適な明るさを確保するのが理想です。
なお、この推奨照度は20歳前後の健康な目を基準にした値です。高齢の家族がいる場合は、明るめに考えておきましょう。
参考:パナソニック「住宅の照明」(JIS Z 9125:2023の推奨照度を掲載)
間接照明とは、光源を隠し、天井や壁に当てた光で部屋を照らす照明または手法のこと。このうち、器具を天井や壁、家具に組み込む手法は、建築化照明とも呼ばれます。
間接照明の代表は、天井を照らすコーブ照明と、壁を照らすコーニス照明の2つです。天井を一段下げた折り下げ天井や、造作家具、テレビの背面などに仕込みます。
間接照明の役割は、アンビエント照明とアクセント照明の中間。天井や壁を照らすと、リラックスできる雰囲気を演出できます。部屋を広く見せる効果も期待できるうえ、目にも優しいです。
コーブ照明やコーニス照明は、溝やくぼみに器具を隠すため、ほこりがたまることもあります。手入れの方法も、設計の段階で確かめておきましょう。
他の照明と回路を分けておけば、夜は間接照明だけをつけて過ごせます。調光に対応した器具と調光スイッチを組み合わせれば、明るさも好みに合わせられます。
関連:折り下げ天井(下がり天井)とは?メリット・デメリットや実例を紹介

次は、部屋ごとの明かりの置き方とスイッチ、よくある失敗例を見ていきましょう。
同じ家の中でも、部屋ごとに必要な明かりが変わります。なぜなら、お部屋ごとにそれぞれ過ごし方が変わるからです。
代表的な5つの場所のポイントを紹介します。
玄関は、靴を脱ぎ履きし、家族を迎える場所です。ポーチには表札や足元を照らす外灯を、玄関の中には靴を脱ぐ位置を照らす明かりを用意しましょう。
人感センサー付きにしておくと、人の熱や動きを感知して、買い物袋で両手がふさがっていても自動でついてくれます。
リビングは、団らんやテレビ、読書と、多様な過ごし方をする場所です。シーンごとにつける明かりを変えられるようにしておきましょう。
ダイニングのペンダントライトは、吊るす高さで印象が変わります。低すぎると、視界に入りすぎて気になることも。高すぎると食卓に光が集まりません。
キッチンでは、手元に自分の影が落ちないよう、調理台の上を照らす明かりがあると便利です。
寝室では、ベッドに寝転んだときに光源が目に入らない配置を考えます。ベッドの真上の照明は、横になるとまぶしく感じやすいものです。
枕元の手元灯や、壁に光を当てる間接照明など、目線から外れた明かりが向いています。
子ども部屋や書斎は、勉強や作業に集中する場所です。JIS Z 9125:2023では、子ども部屋・勉強室の推奨照度を、部屋全体100lx、勉強・読書750lxとしています。
その差は、デスクライトで埋めるのがおすすめ。机を置く位置の近くに、コンセントを用意しておきましょう。
夜中のトイレでは、明るい天井灯がまぶしく、目が覚めてしまうことがあります。人感センサー付きの足元灯なら、スイッチを探さずに足元を照らせます。
洗面所は、鏡に向かう顔に影ができにくい明かりを選びましょう。
意外と重要なのが、スイッチです。帰宅時は玄関からリビングへ、寝る前はリビングから寝室へ。その道すじでつけて消せるか、図面でたどってみましょう。ドアの開け閉めも考慮してください。
回路分けとは、1つの部屋の照明を別々につけられるようにすることを指します。リビングなら、団らん・映画鑑賞・来客など、シーンごとに明かりを切り替えられると便利です。
人感センサーは、玄関・廊下・トイレのように、短い時間だけ居る場所に向いています。ただし、じっとしていると動きを感じ取れず、明かりが消えてしまうことがあります。
気になる場合は、点灯時間を設定できるものや、手動に切り替えられるものを選ぶと安心です。
最後に、住んでから気づきやすい失敗を3つ、対策とあわせて紹介します。
新築住宅の照明計画において、「思ったより暗い」「明るすぎる」という後悔はよくある失敗例のひとつです。
デザインや雰囲気を優先すると暗くなりやすく、暗くなることを心配しすぎると過剰な明るさにつながります。とくにダウンライトは、数の決め方に注意が必要です。
対策としては、一室多灯がおすすめ。ダウンライトは程よく部屋全体を照らせるように配置し、別回路の間接照明やブラケットライトで補助しましょう。手元を照らすタスク照明もお忘れなく。
住んでから暗いと感じたら、フロアライトなどを置いて足すこともできます。置きそうな場所の近くに、コンセントを用意しておきましょう。
ソファに座ったときやベッドに寝転んだとき、目線の先に光源があると、グレア(まぶしさ)を感じます。パソコン作業中のモニターに、背後の光源が映り込むこともあります。
図面は、立った目線だけでなく、座った目線・寝た目線でも確かめましょう。光源が見えにくい器具や、壁に光を当てる照明を選ぶのも対策のひとつです。
ペンダントライトは、テーブルの真上に合わせて付けるものです。そのため、テーブルを買い替えたり動かしたりすると、照明だけが中途半端な場所に残ってしまいます。
対策は、ダクトレール(ライティングレール)やペンダントサポーターを付けておくこと。一定の範囲なら、照明の位置をあとから動かせます。
照明の後悔は、暮らしてみないと気づけない場合があります。だからこそ、基礎知識とよくある失敗、そしてご自身がほしい明かりを、住む前に知っておくことが備えになります。
そのうえで、1灯で部屋全体を均一に明るくする発想を手放してみてください。くつろぐ、食べる、読む、眠る⸺暮らしの行為ごとに、必要な明かりを足していきましょう。
図面を前に迷ったら、設計士など専門家の知見も借りながら、プランを確かめていきましょう。

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